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Microsoft Foundryの最新機能を、Gemini EnterpriseとVertex AI Agent Builderから進化したGoogleのAgent Platformと比較します。
2026/09/25
Microsoft Foundry、Gemini Enterprise、Vertex AI Agent Builder——3つとも「企業向けAI Agent」に見えますが、選定の入口が違います。社員がすぐ使うAIを探しているのか、開発者がAgentを作る基盤を選ぶのかを分けないと、比較表だけでは結論を誤ります。
Microsoftは2026年9月24日、Foundryのモデル選択、音声Agent、長時間実行、ツール管理、継続的な評価・最適化を拡張しました。本記事では最新機能を整理し、Google側の製品名の変化も踏まえて、どれを選ぶべきかを比較します。
| 製品 | 主な利用者 | 主目的 | 選ぶ起点 |
|---|---|---|---|
| Microsoft Foundry | 開発者、AI基盤・セキュリティ担当 | AgentとAIアプリの構築、実行、評価、統制 | Azure、Microsoft 365、Teams、Entraを中心に運用 |
| Gemini Enterprise | 一般社員、業務部門、IT管理者 | 社内検索、AIアシスタント、ノーコードAgent | 社員が使うAIの入口を早く整備 |
| Vertex AI Agent Builder系 | 開発者、データ・MLチーム | 独自Agentの開発、実行、評価、ガバナンス | Google Cloud上で高度なAgentを構築 |
ここで注意したいのは、Googleの開発者向け基盤の名称です。Googleは2026年4月にGemini Enterprise Agent Platformを発表し、Vertex AIを進化させた開発基盤として位置付けました。公式には、今後のVertex AIサービスとロードマップはAgent Platform側で提供されると説明されています。
そのため本記事の「Vertex AI Agent Builder」は、旧来の名称だけを指すのではなく、現在のGemini Enterprise Agent Platformへ続くGoogleの開発者向けAgent基盤として比較します。一方、社員向けアプリのGemini Enterpriseとは分けて考えます。
Microsoft Foundryは、モデルの選択からAgentの構築、データ接続、実行、監視、安全対策までを一つの企業基盤で扱うプラットフォームです。公式ページでは、11,000を超える基盤・オープン・業界特化モデル、1,400を超える業務システム接続、MCP対応、OpenTelemetryベースの追跡、Entra・Purview・Defenderとの統合が案内されています。
2026年9月24日の更新で、特に次が強化されました。
モデルを一社へ固定せず、OpenAI、Anthropic、Microsoft、オープンモデルを業務ごとに選びたい企業に向きます。
Foundry Agent Serviceでは、プロンプト型とホステッド型のAgentにリアルタイム音声を組み込めます。GPT Realtime、Azure Realtime、MAI系モデルに加え、持ち込みモデルも選択肢です。
展開先にWebだけでなくTeams、Teams Phone、Twilioが含まれるため、既存の社内会議・電話・コンタクトセンターへ接続しやすい点が強みです。日本企業では、Microsoft 365とEntra IDをすでに標準化している場合に導入経路を描きやすくなります。
ただし音声モデル、文字起こし、音声合成、電話番号、通信、監視ログは別々の費用になる可能性があります。パブリックプレビュー機能は、本番SLAや対応リージョンも確認してください。
Microsoft Foundryはマルチモデルを前面に出しており、異なる提供元のモデルを同じ基盤で比較・切り替えたい場合に有利です。モデルルーターで品質とコストを動的に調整する設計もあります。
Google側はGeminiとの統合が最も自然です。Geminiの長いコンテキスト、マルチモーダル、Google検索・Workspace・BigQueryなどとの接続を中心に設計するなら、Gemini EnterpriseおよびAgent Platformが分かりやすい選択です。
Gemini Enterpriseは、社員向けの検索・アシスタント・Agentの入口です。Confluence、Jira、SharePoint、ServiceNowなどを権限に沿って検索し、ノーコードのWorkflow Builderで業務フローを作れます。Businessプランは公式ページで1ユーザー月額21ドルからと案内されています。
Microsoft FoundryとGoogleのAgent Platformは、基本的に開発・基盤構築が中心です。完成したAgentを社員へ届けるUI、認証、サポート運用も設計します。Microsoft 365中心なら、Copilot StudioやTeamsを配布面として組み合わせる方が自然なケースがあります。
Microsoft FoundryはMicrosoft Agent Framework、コンテナ化したホステッドAgent、MCP、A2A、CodeActなどを組み合わせられます。既存コードを使い、複数モデルや外部ツールを接続する開発チームに向きます。
Gemini Enterprise Agent Platformは、旧Vertex AIのモデル・データ・Agent開発資産を引き継ぎ、Agent Runtime、Agent Gateway、Memory Bank、Sessions、評価・監視をまとめます。Google Cloud上のBigQuery、Cloud Storage、IAM、Geminiモデルをすでに利用しているチームには一貫性があります。
FoundryはMicrosoft Graph、Foundry IQ、Logic Apps、MCPを通じた接続が強みです。公式は1,400以上の接続先を案内しています。Tool Searchは、Agentへ全ツール定義を毎回渡さず、必要なツールを選ぶことでトークンを削減します。Microsoftの内部評価では、50ツール構成で入力トークンを60%以上、1,000ツール構成で97%以上削減したと報告されています。これは特定の評価条件の結果であり、自社環境で再測定が必要です。
Gemini Enterpriseは、権限を保った社内検索が主役です。Agent PlatformはAPI、データ、Agentを開発者が接続する側です。「検索して答える」だけか、「承認を経て業務システムを書き換える」かで必要な製品層が変わります。
FoundryはEntra、Purview、Defender、Agent 365との統合、ネットワーク出口制御、OpenTelemetryのトレースと評価を強調しています。MicrosoftはFoundry Agent Serviceの顧客データをモデル学習に使わず、データは選択したリージョンのエンドポイントと同じ地域に保存すると説明しています。
Google側もIAM、VPC Service Controls、監査ログ、Agent評価・監視を提供します。どちらも「クラウドだから自動的に統制済み」ではありません。Agentが使うID、ツールごとの権限、データ保持、プロンプト攻撃、緊急停止を組織側で構成します。
Microsoft Foundryは単一の席単価ではなく、利用するモデル、推論、音声、検索、Code Interpreter、ベクトル保存、Agentアプリの基盤などの従量課金です。Foundry Agent Service自体に追加料金はなくても、基盤モデルの入出力やツール利用が課金されます。公開Agentアプリは、基盤を配置するプロジェクト所有者が費用を負担する方式です。
Gemini Enterpriseは社員向けの席課金プランがあり、費用を人数で予測しやすい一方、Agent Platformの開発・実行費は別です。Googleの公式価格では、Agent Computeがアカウントあたり月50 vCPU時間まで無料、その後は通常価格で1 vCPU時間0.085ドル、Agent Memoryは月100 GiB時間まで無料、その後1 GiB時間0.009ドルと案内されています。モデルのトークン、保存、検索などは別料金です。価格は変更されるため契約時点で再確認してください。
日本との関連では、Microsoftの公式発表にNTT DATAによるAgentOpsの評価も掲載されています。国内企業での運用を考える場合、モデル精度だけでなく、障害時の復旧、変更履歴、評価基準を継続運用できるかが採用条件になります。
同じ3つの業務を各候補で試すと違いが見えます。
正答率だけでなく、構築時間、権限設定、トレースの読みやすさ、障害からの復旧、月間推定費用を記録します。既存クラウド契約と人材スキルによって、同じ機能でも総費用は大きく変わります。
AIしるべでは、Microsoft Foundryの機能と料金、Googleの基盤モデルGemini、AIエージェント・自動化ツール、開発・プログラミング向けAI、ビジネス向けAIも確認できます。業界別Gemini Enterpriseについては、法律・金融向けGemini Enterpriseの解説も参考にしてください。
最初の選定では、製品名やモデル数より「誰が使うか」「どの業務システムへ書き込むか」「誰が運用するか」を決めると、候補を大きく絞れます。